2012年3月24日土曜日

胃袋

20日のいぬんこ「おかめ列車の旅」イベントは大盛況でした。 

お客さんには「絵本を読んできました」という親子づれの方も多く、お昼2時の部では「ここは託児所?」と感じるぐらいボクは子供たちに囲まれていました。「おかめ列車音頭」を当日だけの楽団で1曲歌わせてもらいました。演奏者のみなさんには大変お世話になりました。最後はみんなで振付けして盛大にイベントを終えることができました。 

会場内はド派手な物でギッシリ。この世界に合うものならなんでも飲み込むというおかめ列車の強靭な胃袋には驚いてしまいますが、この胃袋こそがおかめ列車の魅力だと思います。カオスになった胃袋の世界で出会った人や物、ここでしか見ることがない出逢いがそこら中にあって、ボクらをワクワクさせているのです。 

いぬんこは「表現において削ること、編集は大切なのことだけど、例えば人類の中で編集?なんてすれば、私は削られていく側だからそう簡単に削ることができない」といった意味のことを話します。 

残されたものが自分の理想であって、、削られたものがゴミだ、、っていう簡単なものではないはずです。残されたものは美しいかもしれませんが、削られたものにだって豊かさがあるでしょうし、それでもなお削らなければ、捨てなければならない、、という心の葛藤が残されたものに深みを与えるのだと思います。 

おかめ列車に飲み込まれたものたちは、胃袋の中で新たな命を与えられるという順番を待っているようにも思えてきて、なんだか愛おしく感じたりするのです。 
さて、ボクの方は今週いっぱい大阪新町にある「月夜と少年」にて、過去に描いた作品が展示され販売もしてくれているコレクション展が開催中です。ボク以外にもたくさんの作家の作品が展示販売されているようです。ここ数年間、「月夜と少年」のオーナーである吉田夫妻には随分とお世話になってきました。ボクよりも一回り以上年齢の違う若い二人でから教わることは色々ありました。作品をじっくりと見たり、読み解くだけの力と忍耐を持つ吉田夫妻はボクの作品の良き理解者だと感じています。 

最終日である24日土曜日の午後早い時間にはボクも会場に遊びにいく予定です。今週土曜日中に会場に足を運んでくれたらうれしいです。 

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2012年3月18日日曜日

おかめ列車の旅へ

ここ数日間は巨大キャンパスに絵を描いておりまして、その絵は銭湯の壁画のように描いたもので、あさっての20日から目白のギャラリー「ポポタム」で開かれる「おかめ列車の旅」に展示されます。 

ひさしぶりの大きなサイズとこれまたひさしぶりにアクリル絵具をこってりと塗る技法だったものですから、なかなかコツが掴めず、ちょっと苦戦しましたが、まあ~なんとか仕上げることができました。 

今回の展示はいぬんこが去年にだした絵本「おかめ列車」の世界に合う作家さんにご協力してもらい、さらにこの世界感をひろげてゆこうという企画展となっています。 

ボクは絵以外にも「おかめ列車音頭」という唄をサキタハヂメくんと制作しました。この唄を聞けば、なんだかすでにアニメ化されたかのような錯覚までおこしてしまう、それは見事な主題歌になっています。ボクが歌詞を書いてサキタくんにメールして数時間後には曲と伴奏と仮の唄入れまでできていたという彼の仕事の早さには驚かされました。 

そして、いぬんこはここ数ヶ月の過密なスケジュールの中(数日前には新刊の絵本「ここにいるよ ざしきわらし」が発売されたばかり)でもなんとか展示用の新作おかめ列車の絵を描くことができました。さらに楽しみなのは参加してくれた作家のみなさんがどんな作品を発表してくれるのか、、期待が膨らみます。 


この「おかめ列車」という不可思議なキャラクターは、身近にいるボクからするといぬんこの分身だということがわかります。 

列車という不自由な体を身につけ走り続けてしまう「おかめちゃん」の姿と、心とは裏腹に右手は魂を削ってまでも絵を描いてしまう「どうにもとまらな~い!」いぬんこの姿とがボクにはダブって見えてくるのです。乗客であるボクはその無茶な走りっぷりに、ときに驚き、ときに心配になり、腹立たしくもあり、おかしくもあり、たまに感動さえもするのです。 

そりゃ~やってみなけりゃわからない。 
走ってみなけりゃ~見えてこない。 
大きな波を乗り越えて、何度も何度も乗り越えて 
でもやっぱり、たまにはビビったりして 
それでもやっぱり走ってしまうんだ。 
いつかは辿りつけるかもしれない、、あの駅にむかって 

これは宿命でしょう。いつ終着駅に辿り着くことができるのか?それは神のみぞ知ることでしょうから、ボクはこももちゃんやおにいちゃん、たこさんやたぬきさんと混じって、この旅を楽しんでまいりたいと思います。 

どうぞみなさんもこの旅に参加してみませんか。20日は午後2時からと、午後6時からの各30分程度ですがライブをします。無料ですので是非遊びにいらしてくださいね。

2012年3月9日金曜日

まれびと

ゆうべ、友人のライブを見た帰りの道でのこと。 

走っていますと目の前になにや大きな物体が見えたので、おそるおそる近寄るとそれは車にひかれた大きなひきガエルの死骸でした。またしばらく走っているとこれまた大きなヒキガエルの死骸、、さらに進むとそこにもひきガエルの死骸、、昨日は気温が上昇して気をよくしたカエルたちが土からでてきたのでしょう。長い冬眠後の目覚めにまさかこんな運命が待ち受けているとは思いもしなかったでしょうけれど…、 

未来はなにが待ち受けているのかわからない。 

先日の大阪「バイエル」でのトークショーで、小説家の西田俊也さんが話していました。

困難が突然襲い掛かってくると、自分が夢の中にでも彷徨っているような気分になります。それら困難な課題は個々の経験値や年齢に比例はしますが、困難のレベルは他人と比較するようなものではありません。でもいつかはみなに平等にやってくるのは確かなことです。 

それはある日、突然に、春に目覚めたカエルたちの事故のように。 


大阪での3日間、たくさんの友人に会うことができました。そしてボクの誕生日ということで、プレゼントやお祝いの言葉をいっぱい貰えました。45歳にもなってこうしてお祝いをしてもらって照れくさいものですが、すごく感謝しています。ありがとうございます。 

かたや、幸せな瞬間も突然にやってきます。お祝いされると驚いて、照れくさくてアタフタしますが、いろんな人に囲まれている、その実感であたたかい気持ちになります。 

アメリカ村の「ディグミーアウトカフェ」での農家アートイベントには、香川県から両親がボクのお祝いにかけつけてくれました。頼んでいた「お遍路さん」の衣装を持ってきてもらい、お遍路さんのかっこになってイベント最後の「近江ええぞ節」ではお客さんの前で踊らせてもらいました。 

その姿を見ていた写真家のモトコさんが「あれは『まれびと』だね。」と言われたので、『まれびと』の意味を調べてみると「いつもは村には住んでいないが、祭りごとには姿を現せる。他界から来訪する霊的なもの」を、いうそうです。まれびと…。フーテンの寅さんのような人かなあ?? 

自分のことをアーティストとか芸術家とか言われると、なんだか違和感がありますが、「まれびと」なら落ち付くような気がします。そんな感じがいいです。なんやわからん存在だけれども、フラりと現われて、ちょっとおもろいことやって、またどこかへ行く…、まれびと。 

でも、ホントはみんな『まれびと』なのかも知れません。あの世からたくさんの経験をするためにこの世にやってきた…、まれびとなのです。